計画されている事業統合の加速化は受託者義務違反
アルプス電気とアルパインは2018年7月27日、以下の文言を含む「アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社との業務提携基本契約の締結に関するお知らせ」を発表しました。
“…本業務提携基本契約に基づき、アルプス電気及びアルパインは、今後、営業分野では、戦略製品の共同プロモーション、開発分野では、戦略製品の開発ロードマップ策定及び共同開発推進、生産分野では、生産技術・生産拠点の相互活用推進、品質分野では、評価・解析設備の相互活用、調達分野では、集中購買強化及び開発購買機能強化を前倒して行っていく予定です。” [Emphasis Added]
アルプス電気が極力早く合併を進めたいことは理解できますが、同社経営陣・取締役会はアルパインの株主に対する受託者義務を有します。現在の株式評価では42%以上の株主が反対し、合併案件は間違いなく否決されます。
アルパイン経営陣・取締役会が、本件合併案件の不成立の可能性を認識しつつも、アルプス電気との協業に集中し経営資源を浪費し続けることは、本案件が不成立となった際にはこれらの協業は解消されることとなるため、受託者義務違反となります。
アルパインがアルプス電気以外の戦略的提携先を模索することに目を向けることが、企業価値の中長期的成長により資することと考えます。